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AIエージェントの暗号資産決済:支出を管理する方法

AIエージェントに暗号資産ウォレットを渡した。ルール違反はなかったのに、$500の出費になった

暗号資産の自動決済は、今に始まったことではありません。取引ボットやスクリプト、自動スワップ(トークン同士の自動交換)は、何年も前から、人が取引のたびに承認しなくても資金を動かしてきました。ただし、実行するのは私があらかじめ決めたことだけでした。

AIエージェントは、さらに踏み込みます。タスクを与えられると、その達成方法を選び、途中で誰に、いつ、いくら支払うかも判断します。資金を使う権限だけでなく、資金に関する判断の一部も、初めて機械に任せられるようになったのです。

ただし、エージェントに与える自由が大きいほど、設定ミスによる損失も大きくなります。ある実験では、約$500の損失が出ました。それを機に、私はエージェントによる決済を次世代の自動支払いではなく、従来とは異なる資金管理の仕組みとして捉えるようになりました。

要点

  • ステーブルコインは機械による決済に最適です。コード同士が直接やり取りし、予算の見通しも立てやすくなります。

  • 最大のリスクはAIの暴走ではありません。人間が作った不適切なルールの範囲内で、エージェントが合理的に行動することです。

  • 予算、1回の取引の上限、繰り返し回数の上限、利用を許可するサービスのリスト、有効期限、即座に停止する手段という、互いに独立した複数の制限が必要です。これらはプロンプトではなく、ウォレット側で強制的に適用してください。

  • 人間の役割は、取引を一件ずつ承認することから、支出方針を管理することへと変わります。

取引ボットからAIエージェントへ

初めてプログラムに資金の一部を任せたとき、AIはまったく関係ありませんでした。使ったのは取引ボットです。いくつかの市場指標を監視し、私が設定した条件がそろうと自動で取引していました。取引ロジック、ポジションサイズ、許容できるリスクを決めるのは私で、ソフトウェアはそれを私より速く実行するだけでした。

その限界はすぐに見えてきました。ボットは私が想定したことにはすべて対応できましたが、想定外のことは何も理解できませんでした。市場がいつもと違う動きをしても、「今回は見送ったほうがいい」とは判断できなかったのです。

そこが、今のAIエージェントとの決定的な違いです。ボットには「Aが起きたらBを実行して」と指示していました。エージェントには「必要な結果を出して。その方法は自分で考えて」と言えます。

これによって、支払いの位置づけも変わります。私が何かを買うときは、商品を探し、購入を決め、決済に進むという段階がはっきり分かれています。エージェントには、そうした区切りがありません。支払いも、わずか数秒でサービス提供者を比較したり、許可された範囲で別の資産やネットワークに切り替えたりするのと同じく、タスクの一工程にすぎません。

この点は、エージェントが従来の自動支払いと異なる理由でもあります。銀行口座から支払うサブスクリプションでは、毎月1回、決まった企業に定額を支払います。一方、エージェントは何が必要かを判断し、サービス提供者を選び、購入する価値があるかどうかまで見極められます。小さな違いに聞こえるかもしれませんが、資金管理の仕組みとしてはまったく別物です。

試してみましょう:AIエージェントに予算を設定

エージェントのタスクは、大規模なデータセットの処理です。処理に必要なGPUの計算能力をレンタルできます。ルールを設定し、実行ボタンを押してください。

1回の購入上限

予算総額 予算を使い切るとエージェントは停止します

簡略化したシミュレーションです。価格は一例です。

これまでの使用額:

800のうち0

使用額:800。ルール違反:0件。

レンタルはすべて設定した上限の40以内でした。エージェントが停止したのは、予算の800を使い切ったときです。処理は20回すべて失敗しました。

必要なルールがない場合 800
ルールを1つ追加した場合 120

予算総額を設定しても、資金は守れませんでした。決まったのは、失う金額だけです。ルールを1つ追加すれば、使用額が120に達した時点でエージェントを停止させ、次にどうするかを確認させられました。

どんなルールでしょうか?多くの人が思い浮かべるものではありません。

答えはこの先で ↓

ステーブルコインが機械による決済に適している理由

ステーブルコイン(米ドルなどの通貨に価値を連動させた暗号資産トークン)は、機械による決済に適しています。広く使われているお金の中で、プログラムで制御でき、少額でも低コストで送金でき、常時利用でき、価値も安定しているという条件をすべて満たすのは、ステーブルコインだけだからです。 

カードは少額決済に向きません。 一般的なオンラインのカード決済には、約30セントの固定手数料に加え、決済額に応じた手数料がかかります。$50の買い物なら成り立ちますが、$0.15のデータリクエストでは成り立ちません。Keyrockのレポートによると、2026年4月までの1年間におけるAIエージェントの平均決済額はわずか$0.31〜$0.48で、エージェントの取引の約76%は、最低限かかる30セントの手数料を下回る金額でした。

銀行の決済基盤は、人が使うことを前提にしています。 口座を開設し、審査を受け、ログインして送金を確認し、ときには銀行の承認を待つ必要があります。週末なら月曜日まで待つこともあります。一方、エージェントは24時間稼働します。ステーブルコインを使えば、取引を作成して署名し、ネットワークに送信するだけで、曜日を問わず数秒から数分で決済が完了します。コード同士が直接やり取りできるのです。

価格変動の大きい暗号資産では、予算が安定しません。 ビットコインもプログラムで制御できますが、価格は変動します。エージェントの予算が0.001 BTCなら、実際に使える金額は刻々と変わり、各種の上限も同様に変わります。20 USDTのような金額なら、私にとってもプログラムにとっても、今日も明日も同じ意味を持ちます。予算を立てやすく、支出を把握しやすいうえ、市場の動きに合わせて上限を再計算する必要もありません。


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AIエージェントは今どう支払うのか:決済を支えるプロトコル

エージェントが支払うには、販売者が「誰が、誰の代理で支払うのか」「その支払いは承認されているのか」を確認できる必要があります。現在、こうした確認に対応するオープン標準がいくつか登場しています。 

  • Coinbaseが開発したx402は、長らく使われていなかったHTTPステータスコード402「Payment Required」を活用する仕組みです。サービスがリクエストに対して料金を提示し、エージェントがステーブルコインで支払うと、リクエストが処理されます。APIやデータ、計算リソースへのアクセスに、リクエスト単位で課金する用途に適しています。2026年4月、このプロトコルはLinux Foundation傘下のx402 Foundationに移管されました。参加企業にはGoogle、Stripe、AWS、Visa、Mastercardなどが含まれます。
  • Googleが2025年9月に発表したAP2(Agent Payments Protocol)は、ユーザーが代理購入を認める検証可能な「委任」をエージェントに与える仕組みを定めています。カード、銀行振込、ステーブルコインに対応し、暗号資産での決済はx402の拡張機能を通じて処理されます。
  • OpenAIとStripeが共同開発し、2025年9月に公開したACP (Agentic Commerce Protocol)は、エージェントが加盟店での購入手続きを完了できるようにするプロトコルです。たとえば、ChatGPT内で直接購入できます。

Volet.comの役割

これらのプロトコルは、エージェントが支払いを要求し、その支払いが承認されていることを証明する方法を標準化します。ただし、実際に資金の受け渡しを行う仕組みは別途必要です。ステーブルコイン決済でVolet.comが担うのは、この部分です。

エージェントに商品やサービスを販売するには、事業者は暗号資産での支払いを受け付ける必要があります。買い手と売り手の間に仲介者がいない形が理想です。Volet.comのノンカストディアル型暗号資産決済ゲートウェイでは、スマートコントラクトを通じてブロックチェーン上で直接決済が行われます。買い手が人でもエージェントでも、ウォレットを接続して取引を承認すると、資金は売り手のウォレットに直接送られます。

Volet.com がグローバル決済の構築を支えます
法定通貨、暗号資産、ステーブルコインに対応。API、Hosted Checkout、導入かんたんなプラグインから選べます。受取、送金、資金管理をすべてコードで。

最初の実験:本を買ってくれるエージェント

次の段階では、取引ではなく、ごく普通の日常の作業を自動化してみました。今回の目的は、これまでとは違います。プログラムには、金融取引の具体的な指示を実行するのではなく、いくつかの手順を自力で進め、私が望む結果にたどり着くことを求めました。

実験には、できるだけ単純なケースとして本の購入を選びました。私は普段から本を買っているので、その過程にある細かな手順をほとんど省けるかどうか、確かめたかったのです。エージェントには、興味のある分野、価格の上限、利用を許可するいくつかの書店を指定しました。決めた期間ごとに一度、新刊を確認し、よさそうな本を選び、私の条件を満たしていれば注文できるようにしました。

予算は、あえて少額に抑えました。この段階では、完全に自律して買い物をする仕組みを作るのではなく、基本的な仕組みが成り立つかを確かめたかっただけです。それでも、このシステムは驚くほど便利でした。本を買うのを忘れないように気をつけたり、目的のカテゴリーを探し直したり、何冊かを比較したりする必要がなくなったのです。ルールを一度設定すれば、あとはその範囲を外れる場合にだけ、私が対応すれば済みました。

約$500の損失を招いた設定ミス

最初の実験が成功した後、私はよくあるミスを犯しました。システムにもっと自由を与えようとしたのです。単純なシナリオではうまく動いたので、次はエージェントが複数の支出を自分で管理するタスクに進むのが自然だと思いました。

あるテストでは、エージェントに専用の予算を与え、データ処理に必要な計算リソースを購入できるようにしました。1回の処理にかけられる費用の上限を$40に設定し、利用できるサービスも指定しました。設定上は万全に見えました。エージェントが突然、残高をすべて見知らぬ相手に送ったり、高すぎるサービスを購入したりすることはできないはずでした。

しかし、ルールを一つ見落としていました。タスクごとに同じ処理を繰り返せる回数を制限していなかったのです。

作業中、エージェントは何度か満足のいく結果を得られませんでした。そこで、処理を止めて私に相談するのではなく、リソース不足が原因だと判断しました。その判断自体は筋が通っていました。計算リソースのレンタル費用は、1回目も2回目も上限内で、3回目もどの条件にも違反していませんでした。そして、さらに次のレンタルへと進みました。

私が状況に気づいたときには、支出の合計は$500に迫っていました。

最初に思ったのは、システムがばかなことをして、お金を無駄にしたということでした。ところが、冷静に一連の動作を確認すると、エージェントは与えられた制約をきちんと守っていたのです。

私は1回あたりの購入額には上限を設けていましたが、少額の購入を何回まで認めるかは決めていませんでした。何回失敗したら停止するかも、支出が増えたときに私の承認を求めるルールも設定していませんでした。プログラムからすれば、計算リソースを少し追加で購入することは、目標を達成するためのまったく正当な手段だったのです。

エージェントはルールを破っていない。問題は私が設定したルールそのものだった

この一件ほど、自律型決済に対する私の考え方を変えた出来事はありません。

問題の原因は、モデルの「暴走」やサービスへの不正侵入、コードの異常終了とは限りません。それよりも厄介なのは、所有者が設定した不適切なルールの範囲内で、エージェントが合理的に行動する場合です。制約に明記されていなければ、私が「本当は何を意図していたか」は伝わりません。

この経験で、ようやく腑に落ちました。エージェントにウォレットを与えるのは簡単です。支出の裁量を適切に定めることのほうが、はるかに難しいのです。


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自律性を管理する:私が今、すべてのAIエージェントに設定している6つの制限

それ以来、私は以前よりもかなり慎重になりました。全体の上限を1つ設けるだけでは、十分な対策にならないと考えています。適切な設定には、それぞれ異なる種類のミスに対応する、複数の独立した制約が必要です。

今では、エージェントのウォレットを、会社内で個別に割り当てる業務予算のように扱っています。主な資金に自由にアクセスさせる必要はありません。特定のタスクに必要なのは、そのタスクを実行するために欠かせない権限だけです。それ以上は与えません。

制限防げる問題設定例
予算個々の支払いでは気づけない、徐々に進む資金の流出タスクごとに最大$300
承認が必要になる金額1回のミスによる高額な損失$20を超える場合は私の承認が必要。$100を超える支払いは禁止
繰り返し回数の上限私が$500を失ったときのような、処理の際限ない繰り返し3回失敗したら停止
許可リスト不明な相手や悪意のある相手への支払い事前に承認したサービス提供者のみ
有効期限残ったアクセス権限が後から悪用されることタスクの終了とともに権限も失効
停止スイッチ想定外の動作の継続1回の操作ですべての支出を凍結

もう1つ学んだことがあります。こうした制限はプロンプトではなく、AIモデルの外部、つまりウォレットや決済インフラに設ける必要があります。プロンプトは依頼であって、保証ではありません。バグやプロンプトインジェクション(ウェブページやファイルに隠された指示で、エージェントの動作を乗っ取ること)によって、エージェントが指示を無視する可能性があります。一方、ウォレット側で制限を適用すれば、制限に反する取引は拒否されます。

確かに、「AIにウォレットを渡して自由に動かす」という発想ほどの華やかさはありません。それでも、実際の製品にはこちらのほうがずっと近いと考えています。完全な自律性はデモでは魅力的に見えます。しかし、実際のお金が関わるなら、私にとっては管理された自由のほうがはるかに重要です。


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エージェントによる決済が暗号資産市場を変える可能性

暗号資産業界は長年、人々が暗号資産を保有し、店で支払いに使い、互いに送り合うことを、広く普及した姿として思い描いてきました。しかし、人間が今後の決済拡大を牽引するかどうか、私には確信がありません。私には、2つのモデルが現れつつあるように見えます。

エージェントからサービスへの決済モデルでは、エージェントが必要なリソースを探し、価格を確認し、利用ごとに支払います。人間は予算と要件を設定するだけです。 

エージェント間の決済モデルでは、あるエージェントがタスクの一部を別のエージェントに任せ、作業が完了したら報酬を支払います。たとえば、調査を行うエージェントは、すべてを自分で処理する代わりに、特定の分野に特化したエージェントに複雑なデータ分析を有料で依頼できます。 

これが広く普及すれば、経済活動の担い手のかなりの割合を、人間以外が占めるようになります。

現時点では、規模はまだ小さいままです。Keyrockのレポートによると、AIエージェントが過去1年間にオンチェーンで決済した金額は$73,000,000強で、暗号資産市場の規模から見ればごくわずかです。ただ、取引量よりも重要なのは、どこに向かっているかです。1人の人間が1日に何千件も目的のある購入をすることはできませんが、1社の企業なら、それを行うエージェントを数十体稼働させられます。そうなれば、規模を測る基準はウォレット保有者の数だけでなく、自律的なプログラムの数と、それらが生み出す経済活動にも広がります。

必要な要素はすでにそろっています。複雑な一連の行動を計画するモデル、API、そしてステーブルコインやスマートコントラクトによる、プログラムで制御できるお金です。まだ足りないのは、こうしたシステムに予算を安全に管理させる仕組みです。それが実現すれば、暗号資産市場に新たな担い手が加わります。仕事を遂行するために、自らお金を必要とするプログラムです。 

こうしたプログラム向けのサービスを構築する際には、Volet.comが決済基盤の整備を支援できます。資金を預かる仲介者を挟まずに、ステーブルコインでの支払いを受け付け、オンチェーンで直接送金できます。

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よくある質問

はい。取引に署名できるウォレットと、設定された制限内で支出する権限が必要です。

x402などのプロトコルでは、サービスがリクエストごとにステーブルコインでエージェントに課金する仕組みがすでに実現しています。

最低限必要なのは、タスクごとまたは期間ごとの予算、取引1件あたりの上限、同じ購入を繰り返せる回数の上限、利用を許可するサービスのリスト、権限の有効期限、そして即座に支出を停止する手段です。

まずは少額から始めましょう。たとえば、$20までは自律的な支出を許可し、それを超える場合は承認を求めるようにします。

はい。ウェブページやファイルに隠された指示によってエージェントの動作を変えることを、プロンプトインジェクションと呼びます。

そのため、制限や許可リストはモデルの外部で強制的に適用し、エージェントが何を言っても回避できないようにする必要があります。

エージェントが自律的に支払いを検証できる方法で、ステーブルコインを受け付けましょう。人間向けの決済ページではなく、オンチェーンで支払いを確認できる仕組みが理想的です。

その方法の一つが、Volet.comのノンカストディアル型暗号資産決済ゲートウェイのように、スマートコントラクトを利用するノンカストディアル型の暗号資産決済ゲートウェイです。